「絵を描きたい!」本気で夢を目指す高校二年生の不安と高揚を描く
高校二年生という、そろそろ人生の方向性を決めなければいけない重要な時期に美術に心奪われた少年・八虎が主人公。
突然目の前に広がった知らない世界に心躍らせながらも、将来はそれで良いのかという迷いも同時にあり、簡単には一歩が踏み出せない。そんな思春期特有の不安と高揚が入り混じった心情が描かれている。
そして、決断をした彼の揺ぎ無い努力とエネルギーが凄まじい。これで、夢が叶わなかったら嘘だと言いたいところだが、目指すのは日本一受験倍率が高いという最難関・藝大!棘の道なのは間違いなく、これを彼がどう乗り越えるのか気になる。
また、作中の多くの作品が実際の美大生によるもの、というのも面白いところ。理論や技術の点からの解説もあり、絵とはそうやって鑑賞するのか、と目から鱗。美術と自分は無関係と思っている人にこそ読んでほしい。